ウィリアム・エドワード・ドッドによる『拡大と対立』は、20世紀初頭に書かれた歴史書である。本書は、特に1820年代から南北戦争に至るまでの時期を中心に、アメリカ合衆国を形作った変革的な出来事や社会の動向を深く探求している。地域間の対立、政治的な競争、そしてアメリカという国家アイデンティティの変化に焦点が当てられている。著者はアンドリュー・ジャクソン大統領の在任期や、新興の西部と既存の東部・南部といった異なる地域間の対立する利益関係にも特に注目している。本書の冒頭では、南北戦争後に初めて統一された国家アイデンティティが形成されたという著者の論点が示され、その前段階で起こった政治的な混乱や経済的な変化が詳述されている。ドッドは、ジャクソンが西部の利益を代表するポピュリストとして台頭し、東部のエリート主義的な政治構造に対抗した経緯を詳しく描いている。また、ジャクソンの幼少期から軍人としての功績、そして民主党の台頭までが詳述され、当時の激動する政治情勢の背景が明らかにされている。物語が進むにつれて、地域間の対立、関税問題、そしてジャクソン主義的な民主主義と伝統的な政治秩序との間の権力闘争が次第に浮き彫りになっていく。