ハリー・ラシントン・スティーヴン著『国家裁判――政治と社会。第1巻(全2巻)』は、19世紀後半に刊行された歴史書である。本巻には、ウォルター・ローリー卿やチャールズ1世など著名な人物に関わる重要な国家裁判が選んで収録されており、それらがもたらした政治的・社会的影響に特に重きを置いている。本書は、これらの裁判の背景と複雑な事情を明らかにし、同時代の歴史的出来事や社会的信念と結び付けることを目的としている。作品の冒頭では、国家裁判を綿密に探究していく全体の方向性が示され、まず本巻に収録する事件の選定過程を概説する詳細な序論が置かれている。そこでは、ウォルター・ローリー卿らの裁判に焦点が当てられる。本文は当時の政治情勢を論じ、そこには有力者たちとローリーとの交流や、陰謀と変動する忠誠関係を背景として彼が後に反逆罪で裁かれたことなどが含まれる。この叙述は、これらの裁判を単なる法的手続きとしてではなく、より広範な政治的緊張と社会的態度を映し出すものとして捉えている。とりわけ、17世紀初頭のイングランドが過渡期にあった時代における、政治的異議申し立てと告発の意義が強調されている。