ジェイコブ・A・リースの『もう一つの半分はいかに暮らしているか――ニューヨークの共同住宅における考察』は、19世紀末に書かれた歴史的記録である。本書は、ニューヨークの共同住宅に暮らす貧困層の生活状況を検証し、都市の貧困と住宅をめぐる社会問題を浮き彫りにしている。リースは自らの観察をもとに、都市の貧しい人々が直面する苦難と、彼らの窮状を招いた制度的な放置に光を当てようとする。本書の冒頭では、個人の経験は社会に役立てられるべきだという信念に端を発する、リースの執筆動機が紹介される。彼は、貧困層の厳しい現実に対する富裕層の無関心を省み、共同住宅の住民の間に犯罪や病気をもたらした悲惨な生活条件を強調する。リースは、ニューヨークにおける急速な人口増加、共同住宅の発展、そして過密な居住空間で生じた公衆衛生上の危機について論じる。これにより、こうした社会経済的構造の影響を受けた人々の暮らしを詳細に探るための土台が築かれ、社会改革の必要性を説得力をもって訴えると同時に、共同住宅の生活を生き生きと描き出している。