ガブリエル・モントヤによる『ル・ロマン・コミック・デュ・シャ・ノワール』は、19世紀末に書かれた小説である。本書はシャ・ノワールとして知られる劇団の冒険を中心に据え、フランス各地を巡る巡業中の公演と交流を描く。語りはユーモア、思索、当時の演劇と社会のあり方への論評を組み合わせ、娯楽と社会批評が独特に結びついた作品となっている。小説の冒頭で、主人公ガブリエル・モントヤは従姉妹に語りかけ、シャ・ノワールとの間近な巡業を知らせる。当初の成功を収めたモンマルトルを離れ、諸都市への冬の巡業に出発する準備をするなか、劇団の旅と公演への興奮がはっきりと感じられる。モントヤは、さまざまな影絵芝居と音楽作品を上演し、寒い天候のなかでも観客の心を温める、困難と喜ばしい出会いの双方を思い描く。生き生きとしたロドルフ・サリスをはじめ、劇団内のさまざまな人物が紹介され、旅を通じて展開していく滑稽で活気ある人間関係が示唆される。