エドワード・フード著『ナポレオンの1812年ロシア遠征』は、20世紀初頭に書かれた歴史書である。本書は、歴史上の転機となった軍事遠征の一つを検証し、とりわけナポレオン・ボナパルトによる、野心的でありながら悲惨な結果に終わったロシア侵攻に焦点を当てている。この壊滅的な軍事行動に関わった出来事や主要人物を平明に叙述し、その結末をもたらしたさまざまな要因を明らかにすることを目的としている。冒頭では、遠征に至るまでの複雑な政治的・軍事的状況を理解するための背景が示される。ナポレオンと皇帝アレクサンドル1世の緊張関係に光を当て、経済的圧力、政治的駆け引き、双方の軍事準備が組み合わさることで、いかに戦争が避けられないものとなったかを描き出している。フードは紛争の直接的な原因を重視し、ナポレオンの侵攻決定へと至ったヨーロッパの混乱、バークレー・ド・トーリ将軍指揮下のロシア軍の状況、そして遠征初期を特徴づけた全体的な力学について論じている。この綿密な分析は、読者がその後に起こった出来事の深刻さと重要性を理解する助けとなる。