トーマス・カーライルによる『過去と現在』は、19世紀半ばに書かれた政治的・哲学的な論文である。この著作では、イングランドの社会政治状況が考察されており、富、労働、そして富裕層と貧困層の双方が負う道徳的責任といったテーマが取り上げられている。カーライルは一連の鋭い観察と批判を通じて、同時代人たちに対し、彼らが置かれている社会的状況について自覚を促そうとしたのである。『過去と現在』の冒頭では、イングランドの繁栄と貧困な労働者たちの厳しい現実という矛盾が強調されている。カーライルは、救貧院で苦しむ失業者たちの姿を生き生きと描写し、彼らを取り囲む富と対比させながら、この状況を「労働の成果を享受することを妨げるある種の呪縛」と表現している。また、ミダス王やスフィンクスといった寓話的な例を用いて、表面的な態度の危険性や、より深い真理を認識する必要性を説明している。この部分は、有意義な改革の緊急性を強調するだけでなく、社会の安易な満足感や労働者階級の苦境を無視することに伴う道徳的な結果についても批判しているのである。