エッサ・デ・ケイロースの『フラディック・メンデスの書簡』は、19世紀後半に書かれた小説である。本書は、豊かで冒険に満ちた経歴を持つ複雑な人物である主人公カルロス・フラディック・メンデスの生涯と体験を詳しく描き、詩、アイデンティティ、社会批評というテーマと絡み合って展開する。当時の文学的・文化的運動の本質を捉え、芸術における近代性と感情表現の探求を省察している。小説の冒頭では、語り手がフラディック・メンデスに魅了された経緯が紹介される。1880年にパリで初めて出会ったことから始まり、メンデスの若き日々と詩人としての力量に分け入っていく。語り手は、メンデスの作品に初めて触れたときのことを振り返り、とりわけ『ラピダリアス』と題された詩集に注目する。この詩集は、同時代的なテーマと深い歴史的・感情的な層を融合させた、メンデス独自の詩へのアプローチを明らかにしている。語り手は称賛を深めるにつれ、アゾレス諸島の恵まれた家系に生まれたこと、世界各地を巡る広範な旅、芸術活動など、メンデスの背景を語っていく。それは、メンデスが周囲の人々に及ぼした大きな影響をほのめかすとともに、二人の知的かつ創造的な友情を探る舞台を整えている。